大学4年生の時、進路に一瞬だけ官僚という選択肢が急浮上した話。④ 2次試験編
2次試験まで
一次試験と説明会でなんとなーく官僚のイメージがわき始め興味を持ち始めた僕だったが、あくまでも今回の受験は自分の力試しであり、対策をしたいとはあまり思わなかった。むしろ一次をほとんど知らないまま受けたこともあり、極力「実力」を測定したいと思った。しかしながら僕の大学で国家総合職合格する人が少ないのでここら辺で僕が一次試験受かったことがその界隈の人の耳に入りいろいろサポートしてもらえることになった。昨年実際に経済区分で受験した人が2次試験の傾向とかを端的に教えてくださったり、まわりから「国家総合職受験してるんでしょ?がんばってね!」と言われる中
(ぱっと受けてみてるなんて言えない雰囲気になってきた…。)
とチキンなハートのなかでも「やっぱり力試しをしたい」という願望が最後までぶれず、先輩にもらったアドバイスくらいで実際に過去問すらとくこともなく前日は前回スマブラをやった後輩とモンハンをやりながら過ごすことに。
当日またこいつがついてきた。もちろん試験会場までは入れない。会場は渋谷で、結構たくさん人がいた。やっぱり一次受かった人たちだから、周りからの独特の威圧感を感じつつ試験時間となっていく。
2次試験・適性試験
僕はてっきり専門科目と政策論文だけだと思っていたけどもなんと一番最初に「適性試験」がまっていた。なんか自分の性格とかの診断みたいなので、特段何も考えずにマークした。何も考えずにマークしろって言われたし、そうした方がいいんだろう。こういうところは素直。
2次試験・専門論述
さて、もっとも重要な専門論述だ。僕の場合は経済学での受験なので
「経済理論・財政学・経済政策・公共政策A または公共政策B」のうち3科目を選ぶ
先輩から事前に頂いた情報によると公共政策Bは毎年同じような問題らしい。
↓参考
総合職合格最短ルートとは? 〜前提知識編〜② - Tech Mind
なので、まず公共政策Bは受けておこうと思った。そのうえで自分なりに力試ししたいのが経済理論だったのでこれを選択。もう一科目に関しては正直受験するときまで決めていなかった。その場で財政学と経済政策の問題を見て、経済政策の方が得意そうだったのでそちらを選択。財政学は暗記が必要だったと思うので避けた。
経済理論
ミクロ経済学でエッジワースボックスとか割とメジャーな話。Logの微分とかゆるふわ。しかしながら絶対的リスク回避度と相対的リスク回避度の数式を完全に忘れていてそこは白紙に。それ以外の問題に関しては結構簡単だったのでさくさく解いた。(といってもさすがにいきなり白紙なので焦った。)
マクロ経済学の方はたしかモデル与えられて解く感じのやつ。中級マクロだけでなく上級マクロで一般化均衡論あたりの話を論文を読みながらちょうどこの時期やっていたので楽に解けた。
経済政策
なんか為替レートの話がうるさかった。特に詳しい話ではなかったけど為替の話さえ知っていて、あとは歴史的な経済ショックを追えばいいのかなと思ってその記述をとにかくした。特に、オイルショック・バブル崩壊・アジア金融危機・イラク戦争・サブプライムあたりの話に触れただけ。ここら辺の話は学部の時、日本の近代経済論に関しての授業が英語で留学生と学ぶやつをとっていたおかげもあり知識的に問題はなかった。
ここで結構論述させられて”鉛筆削りを忘れた”ことに気づく。僕の書く文字は元々汚いけどどんどん太くて汚くなっていく。読めるのかこれ…。
公共政策B
ここに関しては食品の安全のための規制とそれによるコストをはかる問題だった。結構資料も与えられた。
まず広義の市場の失敗とかいう言葉がでて
とおもいつつ適当にそれっぽいのを逆選択・レモン・外部経済・モラルハザードのあたりから選び取って書き綴った。
そしたら次は費用便益と費用効果分析の差を答えろとか
頭の中は↑な状況。
「同じ問題」は「同じような問題」であって「全く一緒」ではないんですね。
対策はしっかりした方がいいよ!(当たり前)
まぁでもこれもどうせ便益と効果だから
費用便益…お金の価値に換算したときのBenefitとCostの差
費用効果…一定の効果を得るために必要な費用の指標
と捉えて解いた。若干違うけどもまぁ近かったのでそんなに減点されなかったと思う。
詳しくは↓を
総合職合格最短ルートとは? 〜対策編・公共政策B〜① - Tech Mind
でも自分なりに一番大事だと思っていた問題が
「資料の中からどれを使って定量的に評価するの?」
って話だったと思う。
これに関してはかなり筋のいい解答を書けたと思う(というか常識的に考えた結果を書いただけだけども)
食品の規制を強くすれば管理コストがかかる。
規制を弱くすれば管理コストは小さいけど被害がでるリスクが上がる。
ようはこのトレードオフな訳だから、「政策決定の際に」にはどこに線引きするのかが必要って所をしっかり強調。
僕はその指標として
「食中毒で体調を崩す話は規制を強くしてもある程度はなくならない」
「しかしながら死亡というのは著しく問題」
「死亡がでないレベルには規制をしていいのではないか」
もちろんここで非常に非人道的だけども「一人の人の価値」も明確に値段にした。
政策決定においてもし50億のコストがかかって一人が助かるならもっとコスパのいい政策があると思う。ぼくは「死亡者一人当たり2億」として、一人の死亡を減らすためにかかる費用が2億より大きくなると推定できるレベルまではコストをかけていいと考えた。
ここで僕が非人道的な考え方をしたのは
「政府っていうのはあくまでも”効果的な政策”を優先的にやることであって、かならずどこかでその線引きをする必要がある」と考えていて、今回はそういう話をせざるおえないと思ったからだ。
余談になるけども、今年のISILの人質問題も同じだ。
テロに屈しないという話もあるけども「政府として一人の人間を助けるためにかけて良いと思う費用」というのに線引きをしているからこそ交渉に応じなかったのだとも思う。
その線引きをしなければ同じ分あれば1万人助かったかもしれない他の政策費用を一人の人間につぎ込むことになる。明らかに非効率的だ。これは人間的な人には受け入れられないことかもしれないけど、全体的な決定をする政府にとっては外すことのできない基準だと僕は思っている。
そんなふわっとしたことを考えながら公共政策Bには適当なことを書き綴っていった。
2次試験・政策論文
正直だいぶ疲れていた。頭の中では
「この長時間の論述から早く逃げ出したい。」
「政策論文は適当に仕上げたさっさと途中退室しような」
ってことしか考えていなかった。
その政策論文の問は
「近代国家における国境の意義について論じよ」
んなもん知るかって思ったけども資料があったのでとりあえず読むことに
なんか
①昔と今のアジアの交流についての資料
②英語でかかれていたなにか(内容覚えていないけど論述では触れた。)
③グラフ(EUのなにかとか)
があった。
一通り読んで書き始める前に頭の中でアイデアを練る
「資料から昔と今の比較した方がよさそう(①+②)。その上でどう変わっていったのかについて触れるべきだな(③)。で、結局この論述のゴールとして何か書いた方が面白そう…。何かあるかな…。
あ、なんだ。竹島と尖閣諸島か。多分そこらへんの話につなげるべきだな。多分。わざわざ今年だすってことはそういうことだ。ってなると国境の意義は…」
こんなことを考えながら僕は
「昔の国境、交易の境目」
「近代国家の国境、交易としての意味はなくあくまでも厳密な国際基準としての領土の線引き」
とした(と記憶している。)
そこらへんのことを資料を適当に使ってまとめつつ、2000文字くらいで書けってことだったのでそれに1500文字くらい使って500文字で
「昨今の日本と近隣諸国における領土問題」の話に発展させて記述終了。
鉛筆削りがないので文字がカオス。しかたない。
まぁいいかと思い眠さに負けて途中退出。一時間くらいで論述をやり遂げた。
2次試験はまだ終わらない。
実は2次試験に人事院面接というのがありそれが後日あるということだった。
僕は割と満身創痍だったので疲れてそんなこと忘れていたが長い戦いだなと感じた。
正直ここら辺で集中力は切れていた。
が、この人事院面接までの間で非常にいい体験をすることになる。
⑤ 人事院面接編に続く…