2015年度最終合格者 合格体験記①

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こんにちは。たいそんです。

本日は、後輩で本年度国家総合職最終合格をしたR君の合格体験を紹介したいと思います。直近の合格者ですので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

以下、R君に書いていただいた体験記となります。

 

 

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  • 公務員試験合格体験記

 

試験結果

一次試験

教養:30/40

専門:29/40

席次:2桁前半

 

  1. 試験対策について
    1. 学習開始時の基礎知識

受験自体は前々から決めていましたが、交換留学試験や大学での講義の関係で、対策に本腰を入れ始めたのは2月上旬からとなります。一次試験まで4ヶ月での短期決戦でした。この時点での知識量は、学部講義で中級のミクロマクロ、統計学計量経済学国際経済学を履修しているくらいです。この時点で特段公務員試験対策はしていません。経済数学については線形代数微積分を学習済みで、公務員試験レベルの数学には困らない基礎学力はありました。教養については中学受験を経験し、大学受験は理系で国公立を受けています。数的推理みたいな問題は中学受験で見たことあるなと言ったところ。センター試験では倫理政経を選択したため、地理歴史の知識はゼロからのスタートとなりました。英語はこの時点でTOEIC800点台、TOEFL-iBT80点台です。選択科目は当初、憲法、経済史、国際経済学でいく予定でした。後に経済史は経営学に変更しました。

 

    1. 春休みの学習について

 短期での準備となるため、予備校等には通わず独学で挑みました。まず春休みの学習についてまとめたいと思います。約2ヶ月の春休みで、学習時間は平均すると3-4時間くらいだったと思います。まず手をつけたのは教養科目の学習です。まず数的推理について。とりあえずどんな問題が出るのかいまいち分からなかったので、地方上級や国家一般も含めて300問ほど掲載されている問題集を使いました。使い方としては至ってシンプルで、まず一周して解けなかった問題のみをピックアップして一周してを繰り返しました。3周程度ですべての問題を制覇しました。文章理解はまあ何とかなるだろうと思い、学習初期では何も手をつけていません。

文系教養科目については、まず世界史に手をつけました。筆者が意識したのは、この学習は単に試験に受かるための学習であるから、出るところだけをマスターするということです。言ってしまえば試験に出ないことを何も知らなくても試験での点数は変わらないわけです。というわけで、まず教科書を通読し全体的な学習地図を頭に叩き込んだうえで、世界史の問題が100題ほど掲載された問題集を回しました。数的推理と違う点は、世界史の選択肢は「すべて根拠を以て消去できるレベル」で初めて正解としたところです。これをすることによって、演習量を5倍に増やすことができます。具体的には別冊ノートを作り、解答するのに必要な情報をコンパクトにまとめました。このノートは試験直前まで見返しました。倫理や政経についても同様です。教科書を通読後問題集という流れでしたが、基礎知識があったおかげであまり時間をかけずに学習することができました。日本史と地理は対策せずに臨みました。

理系教養科目については、物理化学については基礎知識があり、生物地学は知識なしという状態から勉強しました。物理・化学については高校で使った網羅型問題集を一通りこなし、その後問題集に入りました。生物・地学については、センター試験対策の解説本を通読し、問題集をやりました。計算型の問題は数的推理と同様のやり方で、文章型の問題は世界史と同様のやり方で取り組みました。時事に関しては後で詰め込もうと考え、春休みでは手をつけていません。

専門科目についても対策を始めました。春休みではまず、ミクロマクロの学習に焦点を当てました。定番のスー過去を繰り返しましたが、記述試験のことも踏まえて、間違えた問題に関しては背景知識を丁寧に学習するよう心がけました。特にマクロの経済成長理論など二次試験でも出題されやすい分野はきっちり固めておきました。もともとの学習でスー過去を使っていたため、比較的学習量は少なくすみました。また、憲法の学習も春休み中から始めました。憲法はまずTACの網羅型の解説本を読み、その後スー過去を繰り返しました。二周もすればほぼ間違えなくなるのではないかと思います。以上のようなことを春休みにやりました。春休みの最後に業者模試を自宅で受けましたが、この時点では一次教養5割、専門5割程度だったと記憶しています。

 

    1. 4月からの学習について

4月から大学3年となり、春学期が始まりました。大学では大学院科目を履修し始め、TAのアルバイトもやるという時間的にひっ迫した状態でした。一次試験まで2ヶ月間で、試験勉強は2時間もできれば良い方でした。まずは春休みに潰せていない範囲をやりました。財政学についてはスー過去を読んで解くことで勉強を終わらせました。時事ネタも出るので、変わらない原則部分を学習すれば十分だと思います。当初選択する予定だった経済史は試験1ヶ月前にして諦め、経営学をやり始めました。経営学も正直スー過去で十分だと思います。統計学計量経済学に関しては、大学院科目を履修する程度には基礎知識があったので、それを公務員試験用にアレンジするだけで対応しました。大学の講義は実証系で、基本的にPCを用いての講義だったので、手計算できるように公式を確認したり曖昧な部分を補強したりしました。問題集が手に入らなかったので、国家総合職の問題のみで対策を終わらせました。

試験2週間前から時事問題と経済事情の学習を始めました。使ったのは速攻の時事と実践トレーニングです。これもまた世界史と同様に、読んで別冊ノートにまとめ、予想問題のすべての選択肢を自信を持って消去するところまで仕上げました。そして試験1週間前に国家総合職の過去問を一気に演習して、試験場でギリギリまで読む用の弱点ノートを作成しました。

 

    1. 二次試験の学習について

一次試験終了後の自己採点で、少なくとも一次通過を確信したので二次試験の学習を開始しました。科目選択は、経済原論、経済政策、当日の財政学と公共政策Bの出来そうな方、という感じでいきました。二次ではよく試験委員を調べろなんて言われるので、一応調べました。そのうえで使った教材は以下の通りです。

ミクロマクロ

経済政策:特になし

財政学:特になし

公共政策・政策論文

  • 速攻の政策論
  • 地方上級・国家一般職[大卒]・市役所上・中級 論文試験 頻出テーマのまとめ方 2016年度

 

これらの参考書を約1ヶ月でやりました。実際に書いていると演習量が不足するので、使うべき理論と概要を理解しているかを確認し、危ういところを補うという形でやりました。経済学入門塾の難関論点クリア編は、国家総合職のレベルにちょうどいいのではないかと思います。政策論文はさくっと頻出テーマを確認して終わりました。もともと文章書くのは苦手ではなかったので、力配分上時間をかけませんでした。基本的に学習段階では時間等を気にせず、また手を動かして論述することもなく終わりました。実際に時間を測りながら手を動かしたのは、業者模試だけです。二次試験本番でも特に時間が不足して困ることはありませんでした。結局本番では公共政策Bを選択し、経済原論、経済政策、公共政策Bを解きました。政策論文もサクサク書いて途中で退出するくらいには時間が余りました。

 人事院面接については、実はほんの少ししか対策を行っていませんので、これと言って記述できることがありません。面接カードに沿って自分の経験を振り返り、当時何を考えたのか、何を感じていたのかということを思い出しました。カードには表面的なことを並べておき、面接で詳細を答える形式を期待しました。また二次終了から面接まで10日程度しかなかったため、大学の公務員試験受験生の面倒を見てくださっている教授に二日間面接指導をして頂いて臨みました。本番では試験官が三人ともアイコンタクトをしない、表情を変えない、頷かないというコミュニケーションとる気ない態度でした。ドラゴンクエストでいうところのうごくせきぞうです。売れないお笑い芸人の気分で25分を過ごしました。基本的に身振り手振りとか感情表現が出てしまうタイプのため、面接官が話に乗ってくれなくて大分つらい時間でした。取り繕うことはせず、あくまで自然体で挑めば良いと思います。

 

  1. 試験を振り返ってみて

 よく難関試験に分類される国家総合職ですが、経済区分に関しては一定の努力をすれば合格する試験だなと感じました。特に他の難関試験と違う点は、範囲が広すぎる代わりにそれぞれはそこまで深く聞かれないということです。他の難関試験よりそこまで思考力は必要としない試験ではないかと思います。また、1.5年かかるだとか2年かかるだとか、予備校中心に色々言われていますが、地力の差でかかる時間が大きく変わると思います。まず間違いなくセンター試験を国立型で受けている方が有利ですし、加点もあることも相まって英語ができることも有利です。そういう意味では、筆者は公務員試験には向いている経歴だったと感じます。また他の公務員試験を併願するか否かでも勉強時間は変わります。基本的に国家総合職を経済区分で受験される方は併願をしない傾向にあるとは思いますが、もし併願を考えるのであれば、どちらの合格を優先するのか、かぶっていない試験科目の勉強時間をどう配分するのかということについてよく考えることをお勧めします。

加えて、上位合格を狙うためには勉強時間がより多く必要になってくる気がします。時間を横軸にとって、点数を縦軸に取ったグラフは対数関数型になりそうです。採点プロセスはあまり知りませんが、特に論述においては、極端に言えば、ここまでは誰でもできてここからは誰もできないといった境界があるように思えます。その境界を超えられると差がつくかなという印象を受けました。筆者もあと一ヶ月準備時間があれば、もう少し上の席次が狙えたと思います。

準備期間中、時間のない中でしたが、官庁の業務説明会に複数回足を運びました。特に自分の希望省庁に関しては、後のことも考えて、真剣に参加しました。試験に合格するのは多くの人にとって通過点だと思います。特に国家総合職の場合は、最終合格では意味がない試験です。何のために試験を受けているのか、何のために時間を割いて苦しい勉強をしているのかという疑問に対し、自分なりに答えを考えるのは大事だと思います。業務説明会は自分の答えを出すヒントが多くちりばめられています。

最後にタイムマネジメントについて。極端に言うと、復習は時間の無駄であると考えています。もし一回ですべてを吸収できれば、復習時間に新しいことを学べるはずです。もちろん一回ですべて覚えるのは非常に困難です。しかし、一回で覚えるということを意識してやることは重要なことだと思います。その意識の下で、声に出して覚える方法や書いて覚える方法などの種々のメゾッドがより大きな効果を持つのではないかと感じます。

 

  1. 改善点

 大きく二点の改善点があると感じました。第一に試験準備期間の短さがあります。半年ぐらいあればもう少しのんびり対策できたかなと思いますが、短期集中型の方が集中力を上げることができるため、後悔はしていません。ただこれから受ける方は余裕を持った方が精神衛生上望ましいと思います。第二に模試の回数です。独学で費やした金額のうち、6-7割くらいは模試代だったと思います。結局数本はやる暇がなくお蔵入りになってしまったため、どこで何をやるかをもう少し詳細に計画しておけば金銭的出費が抑えられたなと思いました。

 

蛇足:印象に残ったこと

  • 経営学の問題が英語で書かれており、一瞬乱丁を疑った。
  • 数的推理のエレベータの問題。間違えたのはこの一問のはず。
  • 文章理解のミスの数。特に英語。
  • スポーツでの異文化交流の話をジェスチャー交えてやる→面接官無反応。
  • 政策論文途中退室後、名前を書き忘れたんじゃないかと気が気でなかった。

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いかがでしたでしょうか?

僕の目線からですが、彼は学部1・2年生の時から「学部の授業をしっかり学ぶ」

タイプの学生でした。単位のためというよりも「理解」を意識した学習を続けてきたからこそ知識も論理も定着して試験対策時間が短縮できたのだと思います。

また、試験対策の戦略も非常に目をみはるものがあります。

選択と集中」を見事にやってのけています。切るべきところは切る。取るべきところはとる。得意科目をしっかり作って挑むというのは重要そうですね。

彼の場合は数的処理が格段に得意な人間なのですが、もちろんそこが苦手な人も他の部分の得意科目を作ることや、戦略上まねすべき点は多いでしょう。

 

文章を読んで感じた人も多いかと思いますが、彼は優秀です。

しかしながら、それは努力に基づいた優秀さであると感じます。

試験対策の時間が短いのは、それまでの受験経験などで不断の努力をしてきた結果に過ぎません。試験対策や目標を達成する上で重要なのは

「どう自分を奮い立たせ続けるか」

につきます。この体験記が皆さんの学習のやる気をつけるものになれば僕もRくんもうれしく思います。がんばってください。