今更聞けない金融の話

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借りたい人と貸したい人

銀行や証券などは顧客から手数料を取って利益を得ている。本来であれば金融業の使命とは顧客の資産を代理人として運用することだと思うが、いくら預かったかで手数料が代わるため仕事としてはまかされればまかされるほどいいことになる。

 

しかしながら、銀行は決して批判されるだけの物でもなく、やはり代理運用に関しては,間違いなく価値を生み出している。その話の中で今日は簡単なインフレと利子率の話をしたいと思う。

 

いまAさんが1000万円タンス貯金をしていたとする

そこで銀行が「10年間預けれもらえれば1100万円になりますよ」と言う

つまり10年間で10%の利子がつくわけだ

 

これは明らかに10年間タンスに眠らせておくよりもいい。

しかしなぜ銀行は1100万円を返すことができるのか?

理由もまた簡単で「それ以上の利子で貸すから」だ。

例えば新しく事業を始めたいBさんに銀行が1000万円を年率3%で貸したとすると

1000万 × (1.03)^10 = 1343万9163円

の返済を求めるということになる。

(実際に銀行に融資してほしい会社なんてごまんとある。)

銀行はAさんとBさんの間に入ることで243万9163円の利益をえることができる。

 

銀行の存在意義

ここまででみるとAさんも銀行も、そして資金が必要だったBさんも皆得をしている。

疑問としては「なぜAさんはBさんに直接貸せばいいのでは?」

というのが浮かぶかもしれないがそれは

① リスク

② コスト

の2つの側面から難しいことが分かる。

なぜならばAさんがBさんに貸してもしBさんが自己破産したらどうするのだろうか?

利子どころか貸した1000万円すらかえってこないことになる。

こういうリスクがまずあるので虎の子の1000万円を簡単に個人間で貸すには勇気がいる。

ではなぜ銀行は貸せるのか?それがコストに関わる話なんだが、銀行はしっかり事業計画を聞くし、「借りたい人たちがたくさん銀行を訪れる」ので、その中から良さそうな人に貸せばいい。わざわざ自分からリスクの低い借り手を捜す必要が無いということだ。

(もちろん銀行員も営業しているのでないというのは誇大表現だけども)

 

このような形で金融業の価値とは資産運用の仲介役としてリスクとコストをさげる働きであることが分かる。

 

実はAさんは損している

先程Aさんは10年間で10%の利子をもらっていると言ったが、現在日本では年2%のインフレを目標にされており、実際達成される物だとすると1年ごとに物価が1.02倍になる。

よって10年後の1100万円で買える物の価値を今に戻してみる(現在価値という)

すると

1100万 ÷ (1.02^10) = 902万3831円

つまり、Aさんは「いま1000万円のものがかえるだけの資金」の代わりに

「10年後で今で言う902万円くらい分の物がかえるだけの資金」をえることを選んだことになる。

 

さて、こうなってくるとどうだろうか?必ずしもAさんが銀行に資金を預けるのが賢い選択とは思えなくなってくる。株などの資産運用や不動産など他にも選択肢が見えてくる。

 

このように「額面だけ」で判断するのではなく利子を考える時には「そのお金でどれだけの物が買えるのか」という要素を考える必要があり、その時重要になるのが

物価の変化=インフレ

だ。こういう点に気をつけるというところに経済学を学ぶ意味もあると思う。